親権って何?
日本でも離婚をする夫婦は年々増えていますが、子供がいる場合の離婚は更にややこしいものになります。子供がいるカップルの離婚の際に一番重大な問題の一つとなるのが親権です。
ざっくり説明すると、親権とは父母が未成年の子供(実子・養子問わず)の世話をしていく権利を指します。教育やしつけなどの日々の生活面でのサポート(身上監護権)だけでなく、その子供の財産管理の責任(財産管理権)なども含まれます。
日本の法律は離婚した夫婦の共同親権を認めていませんので、離婚するとなると、子供の親権を父母どちらが持つのかまず決めなければいけません。また、離婚後の親権をどちらが持つか決めない限り離婚は成立しません。双方の合意のもとでスムーズに決まるケースもありますが、両者共に親権を譲らない場合は家庭裁判所の判決によって決まります。
この時に重要な役割を担うのが弁護士です。愛情、経済力、生活環境など親権を決める基準は色々ありますが、最も重要視されるのは子供の心身共に健康な生活の維持です。そのため、現実に子供を育てている方を優先する(監護の継続性)という決まりがあります。また、子供が15歳以上の未成年の場合は当人の意思も大きく尊重されます。
夫婦が離婚するにおいて、子供を巻き込んでしまうことは避けられない事実です。親権協議の際には夫婦の要望ももちろん考慮されますが、その子供の将来のために何がベストかということが一番の決め手となります。
父親か母親、親権はどちらに?
日本では夫婦が離婚する際、1960年代くらいまでは父親が親権を得ることが主流でした。しかし現在は80%程の割合で母親が親権を取得しています。
実際、子供が幼い場合は母親に優先的に親権を渡すという決まりがありますので、子供が10才未満のケースでは特に母親が親権を得ています。しかし母親優先の基準があるものの、上記にもある「子供の心身共に健康な生活の維持」という基本的事項を踏まえて、離婚に至った原因が母親にあると判断された場合、または母親が子育てを放棄していると考えられるケースでは母親が親権を取得するのは困難になります。
親権者が母親の場合にも、父親には養育費支払いの義務があります。親権者でないからといって、未成年の子供を養育する義務がなくなったわけではありません。そのため、養育費は子供が成人するまで払っていかないといけないお金になります。
監護者権と面接交渉権について
親権の取り決めだけでなく、子供がいる夫婦の離婚には監護者を決める義務も発生します。監護権とは親権のうちの一つで、「親が子どもを監護し教育する権利義務」を指します。子供の財産管理や養育上の決定権はありませんが、監護者になることで子どもの近くで教育や世話に携わる権利が与えられます。そのため仮に父親が親権を得た場合にも、母親が監護権を持つことで今まで通り子どもの世話ができます。
注意する事項として、親権と違って監護者権は離婚届に記載されないという事実があります。一般的に親権者と監護権者が同一人物のほうが子どものためには良いと考えられていますし、実際に通常は親権者によって監護権は行使されます。しかし例として、出張などで子どもの傍に絶えずいることができない、実際に子どもの世話をする者と財産管理者を分けたい、親権協議になかなか決着がつかないなど、親権者でない側が監護権者としてふさわしいと判断された場合に親権者と監護権者が別々になるケースがあります。
監護権者は、基本的には夫婦双方の話し合いによって決められます。それでも決まらない場合、家庭裁判所を介した判決によって決められます。親権と同じように、双方の子どもの養育能力をはじめとし、子どもの成長にとってどちらが監護権者であった方がよいかが主な判断基準となります。
親権を持たないからといって、自分の子どもに会うことができなくなるわけではありません。親権を持たない方の親が子どもに接触する方法として、面接交渉権という権利があります。面接交渉権によって、親権または監護権がない方の親でも決められた日程で子どもと時間を過ごすことが可能になります。
一緒に食事に出かけたり、旅行などの宿泊も可能です。面接交渉権は民法などの条文に規定されているわけではありませんが、家庭裁判所でも正式に認められています。そのため、親権がある方の親がこの権利の行使を拒否することはできません。しかし離婚の原因やこれまでの経緯によって、面会が子どもに悪影響を及ぼしかねないと判断された場合は面接交渉権が制限されることがあります。
また面会中にトラブルが発生したり、許可なく勝手に会ったりしている場合にはこの権利が無効となることもあります。面接交渉権は親だけでなく子どもの権利でもありますので、行使の際にあくまでも最優先されるのは子どもの利益や福祉です。